リーダーは「公平」、「平等」に部下と接することを心掛けなければならない。しかし、これらを勘違いしてしまう事があるので注意したい。
部下の事を親身に思って色々と考えたり行動する事自体はたいへん素晴らしいことである。それが出来るという事は「思い」という“感情”が原動力になっていると言える。
しかし、その“感情”が時に「公平」、「平等」の原則を忘れさせてしまいがちなのである。
リーダー本人は決して悪気もなく、間違えているとも思わず、部下の事を一心に思うが故の言動は、「本人の為になっていない」という状態を引き起こしかねない。
更には、他の部下から見ると、「その一人の部下にだけやっている」と捉えられかねない。
表題の「手を差し伸べる」という事は、「部下自身が自分の意志でリーダーが差し伸べている手を掴みに行く」という状態である。そして、「手を掴みに行く」という事は、リーダー自らが、その部下に対して、言わば「必要以上に構う」という状態である。
例えるなら、座り込んでいる部下を前に、本人が立ち上がろうとするよう促し続けることはしても、立ち上げるのがリーダーの役割ではない。あくまでも、本人が本人の意志で立ち上がることを根気強く待たねばならない、という事である。
よって、リーダーが根気強く「公平」、「平等」を以て、そんな部下に接するも、本人が自分の意志で立ち上がろうとしなければ、それをそのまま放置する事は決して間違えではないという事。
そんな人が組織を去る事が生じても決してリーダーの責任ではない。社会人とは大人であって、大人とは自分自身の事を自分の意識以て決定する人の事を指すのだから。