リーダーとして部下との積極的なコミュニケーションが重要と認識し、日頃から何かと“話しかけている”のであれば大いに結構であるが、コミュニケーションの重要性は認識しつつも、“待っている”のであれば、それは違う。
リーダーがいくら「いつでも来てくれ!」と言っても、真面目な部下であればあるほど、「失礼ではないだろうか?」、「迷惑ではないだろうか?」、「こんな事を聞いていいのだろうか?」と勝手に考えてしまい、結果的に話すタイミングに困っているという事が日常茶飯事である。
更に、“話しかけている”にも、単に“一声「どうだ?」とかける”のか、ある程度、“具体的な話を投げかけている”のでは大きな違いがあり、勿論、出来るだけ後者でありたい。
部下一人一人、悩んだり、迷ったり、考えている点は異なる。勿論、経験や能力も異なる。だからこそ、一人一人に対して丁寧に、陥りそうな状態を推察し、話しかけてあげる。
この状態を作るためには、日々の接点から、各人の業務進捗は勿論、業務能力や性格など、目に見えない部分を注意深く観察し把握しておく必要がある。この点でもまた、リーダー自身が自分から部下を“見に行く”ことが必然となる。
これらを部下に対して「甘やかす」、「迎合する」、「勘違いさせる」と捉えるのは早合点である。
“話しかける”という事は“答えを教える”、“代わりに対処する”という事ではない。リーダーは部下に対してヒントやコツを伝えるまでで、あくまでも対処する当事者は部下であり、“考える力”を引き出すことが狙いである。
“見に行く”という事は部下に対して“興味・関心をもつ”という事で、“メンドウクサイ”、“こっちも忙しい”という自分都合を言っているという事は役割放棄である。
上位者になればなるほど、現場に出向いたり、部下に歩み寄ったりと“自ら”行うという事が重要であるが疎かになりがちであるので注意したい。
優れたリーダーは「来るのを待つ」のではなく「自分から行く」。