中小企業の創業者が社長をやっている会社は会社経営のうち、「事業運営」に偏重している傾向が強い。
売上無くして利益は生まれないから、先ずは売り上げを立てる事、そして、それを維持は勿論、増加させて行く事に邁進する。これは当然であり必然である。
ある程度会社が安定してきたというのは、この売り上げが安定してきたという事で、同時に社員数も増えている状態である。
そのタイミングで社長が注力すべきは「組織運営」。
会社としての様々なルール作りを行い、それまでの“何でも社長が口出しし、判断する”という事象を卒業しにかからねばならない。
しかし、私の知る限り、創業社長は大抵、じっとしてるのが嫌い、パソコン使うのは嫌い、何か書くことは嫌い、売り上げにならないことは嫌い、自分が縛られるのは嫌いナドナドの性格である。
なので、「組織運営」は必要と分かっているが後回しでったり、士業たちに丸投げして対処しがちである。
車で言う「事業運営」と「組織運営」は両輪であり、ハンドル=会社経営を握る社長はこの両輪のバランスを重視し、注力しなければアンバランスな危険な走行を続けることになる。
「組織運営」の要諦は、「採用と教育」そして、「制度と評価」。
採用にお金を掛ける事は重要であり必然であるが、その際に「どんな人財が欲しいのか?」を明確にする必要があり、それを考える為には、所謂、「理念」が必要となってくる。
しかし、先述通り、創業社長が嫌う要素が集約された、“「理念」を考える”という行為は後回しか士業やコンサルタントに丸投げしてしまう。
人が作ったものだから、創業社長が腹落ちしないまま使っても誰にも響かない。結果、絵に描いた餅で風化して行く・・・。
酷い場合は、「理念とかそんな難しいややこしい話し抜きで何とかならないのか?」と絶句の決まり文句が聞こえてくる。
他には、「教育する時間と暇がない!、それが出来るなら現場が先!」、今では「現場に人が足りないから、そんな余裕ない!」。
更に更に、「制度と評価」だけを社労士やコンサルタントに作成依頼し、既存社員は締め付け感を感じたり、現実的に取得できる可能性を感じない有給を聞かされ、呆れたり、有難味を感じず、社長にしてみると“してやっている”という勝手な思いと相反し、良くなる期待が真逆で終わる事になる。
「組織運営」を面倒くさい、邪魔、うちには必要ない、と思っている社長の会社は一定規模が限度でそれ以上の成長は困難である。
よって、そこに在籍している社員は、それが平気なら、その社員の能力もそれ止まりなので、それ以上能力が成長する訳もない。違う言い方をすれば、整った組織運営が出来ている会社には、それに見合った能力の人財が存在するという事。