「業態」とが「何屋」か?である。
余談であるが、「業種」は「飲食業」で、飲食業と言う業種における「業態」=何屋という言葉になる。
業態は以下の9つの要素から成り立っていると私は考えている。
①店舗基本コンセプト
②店舗概要(住所・営業時間・定休日・席数・坪数、等)
③客層、ターゲット
④利用動機
⑤商品(メニュー)コンセプト
⑥客単価、FD比
⑦サービスポリシー・オペレーション方法
⑧店舗デザインコンセプト
⑨店舗存在告知方法、来店促進方法、商品販売促進方法
上記、各項目に於いて、長時間営業を行っていて、時間帯別に異なる事項があれば、時間帯別に、その実態を出来るだけ細かく書く。
これらの9要素を一括りにして、「業態バランスシート」(略称:GBS)と呼んでいる。
店と言うのは物理的なものなので、存在としては見えているが、業態自体は見えていない。
そこで、この業態バランスシートは“業態を可視化する”という道具である。
これの使い方は、大きく二つ。一つは「既存店の現状把握」、一つは「新規店の業態開発」。
前者の事例を言うと、店のオーナー・店長・社長の想いや考えがあって始めた店を、そこで働くみんなが同一に理解しているとは限らない。特に長年経過し、開業時のスタッフが不在であったり、オーナーや社長が日常的に現場に居なければ、店は営業の為に“単に開いている”が、“想いや考えそこにあらず”状態に陥り、自然と売上下落傾向に陥る。
そこで、店のオーナー・店長・社長はじめ、店で働くみんな一人一人が、この業態バランスシートに則り、書き方の説明やルールだけ伝えて、各自が捉えるままに自由に書いてみる。
書き終えたものを他社と見比べながら、相違点や共通点を洗い出す。
私の経験上、不審店になればなるほど全員バラバラまたはロクに書こうともしないか考えようともしない。逆に繁盛点は見事に一致するし、書くことも多い。
書き上げた業態バランスシートに「正解」を求めるならば、オーナー・店長・社長の書いた内容がそれとなる。オーナー・店長・社長が自分の想い考えの店をスタッフに運営してもらいたければ、の話しである。
そうではなく、「基準」を求めるならば、オーナー・店長・社長の想い考えは理解した上で、現場スタッフの意向を尊重した店の運営を行えばいい。
いずれにしても、店の運営は団体競技同様なので、リーダーの下に全員の想い考えが一致し、その上で、一致した目指す先に進む事が肝要である。
その為に、感覚的ではなく先述通り、“業態を可視化する”事で、正に「明確に」するのである。
「新規店の業態開発」も想い考えの共有化という点で同じで、オーナー・店長・社長の想い考えを業態バランスシートを用いて一覧でまとめる事で、各種の専門家(インテリアデザイナー、グラフィックデザイナー、メニューコーディネーター、セールスプロモーター等)に個別バラバラではなく、一貫した内容を伝えることが出来る。
そして、専門家たちが作り上げた目に見える物の根源となっている「業態バランスシート」を店舗運営スタッフにも示し、正に「一気通貫」で店に関わる人達が同じ想い考えで臨み、お客様にそれを伝えていくのである。
「業態バランスシート」はその名の通り、“業態のバランス”を捉える“道具”で、企業経営による店舗運営であればある程、“バランスの良さ”を求める事をお勧めする。逆に個人店として、オーナーまたは社長が日々、現場にいると言うなら、バランスの良さなど気にせずに、何か一つ、9要素の1点が突出している状態を作り上げる事をお勧めする。飲み屋と言われる店はマスターやママの強烈な個性による⑦接客が突出している、無愛想で営業日時もバラバラの行列ラーメン屋は⑤商品が突出している様に。
とにかく飲食店経営は「感覚的」に済まされている事が多い。
目に見えない物事を言葉だけで伝えていく。これが失敗する大きな原因の一つ。
家族や親近者でも容易ではないことが、他人となれば尚更難しいものである。
想い考えを「可視化」し、リーダーからスタッフ全員で「共有」し、目指す先に「団結」して進むことが繁盛の一つの秘訣である。